現代版チャレンジャーとしての必須アイテムが全て揃った究極デザイン
個体数が少ないからヘルキャットを探すよりも難しい
文/石山 英次写真/古閑 章郎
2008年に登場したダッジ チャレンジャーには数々のトピックスがあったが、その中でボディの形状に及んだ変化は3度あった。
ひとつは2015年のビッグマイナーチェンジでの顔の変化。そしてシェイカーフード装着によりフードに穴が開き、2019年にオーバーフェンダーが装着されたワイドボディが登場した。
たとえばボディカラーが追加されたり、往年のモデル名を復活させたり、デーモンのようなバケモノ的マシンを登場させたりと、多くの派生モデルを産み出してきているが、ボディに変化をもたらした量産モデルは上記の3回である。
そんななか登場したシェイカーフード装着車は、まずは2014年が限定で、2015年から2018年型までは量産モデルとして存在する。だが、2019年ではシェイカーはパッケージオプションとなってしまったため、高年式のシェイカーフード装着車は極めて限られた存在になっていた。
だが、本国アメリカでの人気のため、2020年モデルの旧チャレンジャー生誕50周年記念モデルとして、再びシェイカーが装備されたチャレンジャーが限定復活していた。
ちなみに、なぜこれほどまでにシェイカーが本国で人気なのか。それは、復刻デザインとしてのチャレンジャーの魅力を最大限発揮しているモデルがシェイカー装着車だから。
また、シェイカー装着車には6.4リッターV8エンジンが必須だから。いわゆる大排気量NAエンジンであるが、「ヘルキャットまではいらない」という方々にとっては6.4リッターこそがチャレンジャーに相応しいということなのだろう。
余談だが、シェイカーフードは700hp超のヘルキャットには装着されない。考えればわかるが、スーパーチャージャーによりシェイカーを装着するスペースがないからである。
だが、だからこそ、あえてシェイカーを装備することでヘルキャットにはない生粋のNAモデルをアピールする狙いもあるのだろう。
そんな中で2021年に再び一部仕様変更が行われた。チャレンジャー R/T スキャットパック シェイカーにワイドボディが組み合わされたのである。
それ以前においては50th年記念アニバーサリーモデル以外において6.4リッターV8とシェイカーフード、そしてワイドボディが組み合わされたモデルを入手することができなかった。
だが、それら50th記念サニバーサリーモデルは限定モデルであったため誰もが購入することができない。よって、翌2021年に解禁されチャレンジャーR/T スキャットパック シェイカー ワイドボディが量産ラインナップに新たに追加されたのである。
チャレンジャー R/T スキャットパック シェイカー ワイドボディとは、往年のV8NAエンジンにチャレンジャーとしての必須アイテムが全て揃った究極デザインであり、例えばチャレンジャー最大パワーを発揮するヘルキャットでも叶わない最強スタイルである。
ということで、取材個体。2021年型のチャレンジャー R/T スキャットパック シェイカー ワイドボディのBCD認定中古車。走行約8,000キロの個体である。
それにしても驚くべきレベルの個体である。BCD車両として一度販売され再びBCDに戻ってきた個体。それでいて1万キロにも満たない走行距離。前オーナーがいかに大切に扱っていたか。ルビーレッドの室内を見てもシートにほんのわずかな使用感があるのみで、その他にヤレや使用感はほぼ感じない。
ボディ外装においても同様のレベルで、これから購入する方にとっては非常に嬉しいコンディションだろうと思う。
聞けば「すでに輸入が止まっているチャレンジャーにおいて、このレベルの個体を探すのは非常に難しい」とのこと。続けて「市場には安かろう悪かろうの個体が見られるようになってきました」ということだから、購入個体の見極めが非常に大切だということだ。
また「2020年、2021年はコロナ禍だったこともあり本国の生産台数自体が少ないから、ワイドとシェイカーの組み合わせモデルは、新車当時でも日本に上陸した個体の数が非常に少なく、ヘルキャットを探すよりも難しい個体です」という。
6.4リッターV8NAエンジンの魅力は言わずもがなだが、それにシェイカーとワイドボディの組み合わせは、前述の通り復刻版チャレンジャーの最強スタイルである。あえてヘルキャット以上のパワーを望むのであれば別だが、そうでなければ、コイツこそが最強モデルである。
最後の最後に他と差別化できるチャレンジャーを望むなら、チャレンジャーR/Tスキャットパックシェイカーワイドボディは最右翼の候補と言っても過言ではない。