旧車をクルマとして楽しみたいなら必見の個体
レストアの手が入るも当時の純正状態が限りなくキープされる
文/石山 英次写真/古閑 章郎
これまで様々な旧車を取材してきたが、中でもオールドマスタングの人気は圧倒的だった。特に65年、66年といった初代モデルの人気が日本では高く、個人的にも数多く取材してきたし、またその多くが実際に売れていった。
余談だが、先々月紹介した66年型マスタングのマニュアル車も早々に売却済みだった。
BUBUビンテージの個体は、展示車両を直接確認して納得した状態で購入可能だから、購入を検討している方にしてみれば安心感が高いのだろう。
またBUBUビンテージが扱う個体は、比較的入手しやすい現実的価格帯の個体が多く、それでいてカリフォルニアにあるBCD支社を通じた厳選仕入れだからある程度の改善作業で日本の道路を走れるのも決め手になるのだろう。
昨年の話になるが、モーニングクルーズに参加されていたビンテージマスタングユーザーに話を聞いた。その中の1名はオールドマスタングのみしか所有していないというから驚いた。
だが、何をするにもそのマスタングを出動させるというし、実際にそうした使い方で生活できているというのだから恐れ入る、というか素晴らしい。
もちろん、現代車と比較すれば我慢することも多いだろう。だが、それをも上回る楽しさや充実感があるというのも、また事実なのだろう。
もう一つ。旧車の楽しみ方としては、ボロを買ってコツコツ直しながら乗るという考え方もある。実際にそういう個体も取材してきているし、それはそれで楽しい世界であることに間違いはない。
ただ、65年型マスタングで話をすれば、齢60年をも超える年代車。直すにもフレームからボディ外板、サスペンション、ブレーキ、ホイール、そしてエンジン、点火系、冷却系、排気系、続いてインテリア各部と手を入れる部分は果てしなく続く。
そんなベース車でもマスタングとなれば、それなりの値段が付くだろうから、ちょっとずつ手を入れつつ、時に自分でもDIY作業し、またパーツを世界中からかき集め、そして再び作業依頼・・・、果たしてどのくらいの費用と時間がかかるのか。
この作業自体を「趣味として楽しむ」というのならそれはそれでOKだろう。が、旧車を「クルマとして乗りたい楽しみたい」と考えるなら、やはりある程度手が入った個体を手にするのが現実的だろうと思う。
そんな旧車の中で、今回取材した66年型マスタングは珠玉のマスタング、とも言えるコンディションだった。
すでにアメリカ本国で大幅なレストア作業が行われ、ボディから足回り、エンジン、インテリアと、特に走行に関する部分を中心としたモディファイ作業が行われている。
具体的に、ボディは全域で見直され、純正カラーでペイント。エンジンはオリジナルと同じ289cuinのV8エンジンに載せ換えられ、キャブレター、インテークマニホールド、ラジエーターを含む冷却系から点火系に至るまでモディファイ。ハードチューンというよりは乗りやすさ重視に仕上げられている。
インテリアも同様に、オリジナル重視の純正ルックにまとめられ、天井、フロアが全て張り替えられ、ダッシュ周りにも手が加えられている。
カリフォルニアに支社があるBUBUビンテージの日本人スタッフが現地で試乗しており、この状態で10マイル以上の試走とフリーウエイでの走行チェックを行ない、「何事もなくいたって普通に走れましたし楽しかったです」ということだから、この個体の持つ魅力と能力の一端が示されたと言っても過言ではないだろう。
個人的な感触としては、とにかくボディがキレイで、ボンネットフードからドアに至るまで極めてスムーズに開閉可能。ボディにヨレがない証左であり、旧車独特の「ガチャ」っという金属音がダイレクトに感じられ、その重厚感がたまらなく素敵に思える。
くわえて室内各部も当時の純正状態が限りなく再現されているから、当時の新車状態に近いものが味わえ、それだけでも「買い」ではないかと思ったほど。
確かに、このレベルの個体にはかなりの購入金額が必要にはなる。だが、これまで見てきたどんなマスタングよりも仕上がりのまとまり感においては満足感が高い。
ある程度の金額を用意しオールドマスタングの購入を検討していた方がいるならば、是非この実車を見て欲しい。プラス100万円出しても、いや200万円出しても手に入れたいと思うはずである。
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