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BUBUがお届けする連載企画 “ナレッジ” | Showcase.45 「フォード・マスタング × 藤島 知子」

フォード マスタング

BUBUがお届けする連載企画 “ナレッジ” | Showcase.45 「フォード・マスタング × 藤島 知子」

第45回目はモータージャーナリスの「藤島知子」さんにご登場いただきました。

文/プロスタッフ写真/内藤 敬仁

欧州や中国では電気自動車化が目的みたいになっているが…

ここ数十年で変わったことって、いろいろある。
高価なブランドで着飾るよりも、等身大で丁寧な暮らしを送ることがスマートに思えるようになったこと。無駄なものを手放して本質に目を向ける断捨離。物が溢れかえる時代にアナログな物ゴトに惹かれるようになったこと。これはキャンプブームを巻き起こすキッカケにもなった。
一方でクルマの世界は地球環境との共存を目指して、カーボンニュートラルの動きが本格化。電動化の波は各国のCO2削減目標を前にいよいよ現実味を帯びて、欧州や中国を中心に電気自動車化が目的みたいに取り沙汰されているほどだ。
前置きが長くなってしまったけど、つまり、何事も“反動”みたいなものが私たちの気持ちをかき立てることがあるっていうこと。今回、BUBU横浜で2019年モデルのマスタングのハンドルを握ったら、そんな思いが私の頭の中をグルグルと駆け巡った。

車両イメージフォード・マスタング

フォードが日本から撤退してもマスタングは輸入され続けている

マッスルカーの存在はヒーローみたいなもので、アメリカ人が思い描く強さと逞しさの象徴だ。フォード マスタング、シボレー コルベットやダッヂ チャレンジャーなど、時代の変遷とともに切磋琢磨しながら輝きを放ってきた憧れのモデルであり続ける。

フォードは日本から撤退してしまったけれど、本国ではマスタングも進化し続けているワケで、そうしたモデルを手に入れられるお店がこうした形で存在していること自体がありがたい。現在、日本に正規ディラーが存在しないフォードにおいて、並行輸入車に乗るとなると、信頼できるお店で購入したいと思うところ。その点、BUBUはカリフォルニアに施設とオフィスを構え、購入・輸出といった仕入れにまつわる一連の業務を自社で行うことによって、お客様に安心してもらえる環境を築いてきた経緯がある。

車両イメージBUBUアメリカ現地法人「Mitsuoka Motors America Inc.」

BUBU横浜のシニアセールスを務める大竹さんにお客様とのやりとりについて伺ってみると、最近のお客様はインターネットやYouTubeで車両にまつわる情報を事前に調べてから店舗に来店することが増えているそうで、アメ車を所有する不安を払拭しているケースがみられるとのこと。これまで、日本にあったフォードのディーラーで車両を購入したお客様も訪ねてくることがあるそう。
フォードが日本から撤退したことで、その後のリセールバリューが気になっていたが、2021年12月現在は半導体の供給が新車に追いついていないこともあり、むしろ中古車の査定額が全体的に上がっているそうだ。
購入していくユーザーは20代の若者も多く、ご両親に協力してもらいながら、頑張って購入するケースもあるという。若者のクルマ離れという言葉が吹き飛んでしまうエピソードを聞いて、思わず嬉しくなってしまった。

車両イメージ最近のお客様はインターネットやYouTubeで車両にまつわる情報を事前に調べてから店舗に来店することが増えている

ダウンサイジングターボを搭載した世界戦略車

今回試乗させていただくのは、2019年式のマスタング 2.3 エコブースト クーペ プレミアムというモデル。エンジンは直4 DOHC 2.3Lのターボエンジンを搭載したもので、現行型のマイナーチェンジ後の仕様にあたるそうだ。
マッスルカーの場合、依然、大排気量エンジンは羨望の的ではあるものの、時代の波を受け容れたダウンサイジングターボの実力がマイチェンでどんな具合になっているのか気になるところだ。

ちなみに、このマスタングがフルモデルチェンジしたとき、2015年に日本に上陸したのだけれど、その頃はまだフォード・ジャパンが日本で販売を行っていた。当時の担当者の話によれば、マスタングは世界戦略車として方針を転換したクルマづくりが行われたとのこと。欧州車を含めた世界の並みいるライバルたちに負けない走りを目指して、リヤのサスペンション形式を50年ぶりに一新してマルチリンク式を採用したそうだ。また、音にこだわるマスタングオーナーは音にヒアリングしてチューニングを行ったと語っていたのが印象的だった。

車両イメージロングノーズで古典的なアメリカンスポーツモデルらしいスタイリング

直4ターボでも走りは紛れもなくマスタング

あれから6年もの時間が経ったいま、ワクワクした気持ちでマスタングと再会することになった。ロングノーズで古典的なアメリカンスポーツモデルらしいスタイリングは全長こそ5m未満であるものの、全幅は1900mmを超え、2720mmものロングホイールベースで構えた姿が頼もしい。せっかくなら華やかなカラーで乗りこなすのも素敵だけれど、今回のカラーは睨みを効かせながらもどこか温かみのある表情が今回のシャドウブラックのボディカラーはシックで洗練された一面を見せてくれるもので、グリルの中にはクロームメッキーのバーとポニーのエンブレムが誇らしげに煌めいている。鈍い艶を放つ19インチのアルミホイールは猛禽類の太い足を思わせる骨太感を漂わせているようだ。

運転席に乗り込んで走り出すと、なるほど、音色にこだわったというあたりが凄くよく分かる。直4エンジンの筈なのに、まるでV6かV8にでも乗っているかのような野太い音を轟かせながら太いトルクとともに車速を高めていくのだ。しかも、当初は6速ATだったと思ったが、いつの間にか10速ATに多段化されているではないか。低速から高速までの幅広いシーンで欲しいトラクションを確保しやすいだけでなく、高速移動の際は低回転で力を得られるため、燃費性能の向上も期待できる。

車両イメージ鈍い艶を放つ19インチのアルミホイールは猛禽類の太い足を思わせる

何より、軽くアクセルペダルに足を乗せていればトルクで車体を押し出していってくれる。ハイスペックなV8 5Lエンジンの野太さや迫力は確かに魅力的ではあるものの、この直4 2.3Lターボの場合、鼻先は軽いし、排気量は半分でも馬力やトルクは当時のV8と同等程度を確保しているというのだから、直4エンジンでV6を凌ぐパフォーマンスを発揮するように技術的な進化を遂げたことは現代のモデルならではの功績だろう。恐る恐るアクセルを深く踏み込んでみると、後輪が蹴り出すトラクションを発揮。紛れもなくマスタングなのだ。
それでいて、世界戦略車ゆえの進化で操縦安定性が高く、どっかに飛んでいってしまいそうな危うさも感じにくい。僅かなアクセル操作意に車体の動きが反応し、クルマの挙動を手の内に収めていると感じられるのは、シートのサポート性が高く、運転姿勢がしっかり決まることも関係しているのだと思う。そのおかげで一般道の狭い場所でも車体の大きさのわりに走らせやすいと感じた。

車両イメージ直4エンジンでV6を凌ぐパフォーマンスを発揮するように技術的な進化を遂げた

いつまでも変わらずにいるマインドに心打たれるモデル

いやはや、モータージャーナリストとう仕事柄、国内外の最新モデルを乗り比べさせていただいているが、改めてアメ車のクルマづくりのアプローチを見せつけられた気がした。現代の要件に対応すべく、ハードウエアを進化させながらも、マスタングとしての乗り味や所有する人たちのパッションは貪欲に追求してみせる。時代は変わっていくものだが、いつまでも変わらずにいてくれるそのマインドに心を打たれてしまった。

車両イメージいつまでも変わらずにいてくれるそのマインドに心を打たれてしまった

【プロフィール】

藤島 知子(ふじしま ともこ)
モータージャーナリスト / AJAJ会員

2002年からレースに参戦する傍ら執筆活動をスタート。現在はレース活動で得た経験や女性目線を交えながら、自動車専門メディアや女性誌などに寄稿し、動画出演も行っている。テレビ神奈川の新車情報番組『クルマでいこう!』では、クルマがもたらす楽しみをお茶の間の幅広い世代に向けてレポート。日本自動車ジャーナリスト協会会員、2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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BUBU MITSUOKAがお届けするスペシャルコンテンツです。
自動車に限らず、幅広い分野からジャーナリストや著名人をお招きして自動車を中心に様々な角度から
切り込んでいただく連載企画です。

今後も多数展開いたしますので、お楽しみに!毎月配信。

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