文/S.Hiramatsu
カイエンは2002年に登場したポルシェ初のSUVです。ポルシェらしく抑揚に富んだ美しいボディにSUVとしての力強さが融合し、類を見ない「プレミアムSUV」の先駆者となりました。それまでは悪路走破性を目的とし、無骨な道具感あふれるモデルがほとんどだったSUV市場に投じられた、スポーツカーレベルのスペックを備え曲面的な美しさも持つ車。異例のアプローチが賛否両論を呼んだものの、結果的には大ヒットとなり、高スペックのプレミアムSUVという新たなジャンルに他社も次々に参入することとなっていきます。
カイエンターボは初代カイエンデビュー時にラインナップされた「カイエンS」にターボチャージャーを搭載した上位モデル。
排気量4.5Lのツインターボチャージャー搭載のV8エンジンが置かれました。
最高出力331kw 450ps 最大トルク63.2kg・m(620N・m)を発生させ、スポーツモデルとして確かな走行性能を持っています。
ジク(siku)は1921年に創業し、100年以上の歴史をもつ老舗メーカーです。創業当時は鋳物製造をしており、ベルトのバックル、灰皿など様々な日用品を手掛けていました。玩具の製造を始めたのは1950年代のこと。戦後も暗い空気が続く世の中で、子どもたちに遊び道具を届けたいという思いからです。当時はプラスチックの射出成形が新技術として浸透した背景も大きく影響。同社が製造した玩具も、金属でなくプラスチックを用いたものでした。現在のように金属を用いた重厚なミニカーを製造するようになったのは1963年のことです。それからは精巧かつ遊びに富んだミニカーのトップブランドとして名を馳せ、世界中の子どもたちに質の高いミニカーを届けています。
メーカー
siku
ブランド
siku
発売年
2006年
メーカー本拠地
ドイツ
製造国
中国
筆者のお気に入りポイント
グリルやホイールのディテール表現
今回紹介する「ポルシェ カイエンターボ」は通常品が2004年にリリースされ、2006年に車両積載トレーラーとセット販売されたものです。筆者はこのセットのうちカイエンのみをリサイクルショップにて単品で発見!今となっては貴重な個体なので迷わず買ってしまいました。通常品はブラックのインテリアでしたが、こちらではレッドのインテリアでリリースされました。
フロントは内部構造までクリアパーツで成形されたヘッドライトがきらり。グリル内のメッシュパターンもプラ製のパーツで非常にシャープに作られています。樹脂製バンパーやフォグランプの彩色も、この車がSUVであることをさり気なく語っているようです。
サイドは立体のボリュームでボディを描き出すポルシェらしい造形が、SUVのプロポーションに落とし込まれています。フェンダーからウインドウ下、そしてリアへ流れる「ショルダーライン」と言われる立体の芯が曲面で通り、安定感ある塊としての美しさとSUVの車格との融合が果たされました。
さらにシルバーの車体の上に別色のシルバーで窓枠が塗装されていることで、質感の違いまで伝わってくるようですね。
リアはハッチバックスタイルの一体感ある造形で迫力ある仕上がり。ライトがクリアパーツであることで一層、工業製品の質感が増しています。トランク下部の滑り止めのパターンやヒッチメンバー(牽引用の部品)まで再現されており、SUVとしての魅力もしっかりと表現されています。リアガラスが透明パーツで再現され、余計な支柱が貫通していない内装表現も要注目。これはシャーシのカシメ部分とボディの繋ぎ目がインテリアのパーツより下に収まることで実現しています。
ジクのミニカーは本物の動きを再現にすることにこだわっています。このモデルではドアが開閉します。
通常品よりクリア層の厚いシルバーのボディとレッドのインテリア。このコントラストはセット品だけの特別カラーだったようです。実車でもレッドのインテリアはターボモデルで特に人気を博しました。
ステアリングがしっかりと抜けているだけでなく、メーターやスイッチ類も立体的に造形されています。この金型が作られたのはもう20年以上前のことだから驚き!ドイツらしいものづくり精神を感じますね。
ヒッチメンバーには同社がリリースしている多様なトレーラーを繋げて遊ぶことができます。ここでは、ジープ・ラングラーとセット販売されているモーターボートのトレーラーを連結してみました。SUVのアウトドアテイストによく似合うこのトレーラーは、金属製のフレームと樹脂製のボートが脱着可能。このような凝ったアタッチメントによってさまざまな遊びの選択肢を与えてくれるのが楽しいですね。
また、ルーフには人気を博したオプション装備であるサンルーフやモールド形状が再現されています。
さらにこちらも見逃せません。金属調で重厚感あるホイールに、溝まで再現されたゴムタイヤの組み合わせ。地面を走らせると心地よいゴムのグリップ感が印象的です。ジクの中でも、ここまで細部が質感高く再現されているモデルは現在では少なくなってきました。2000年代はジクの中でも特に魅力的なディテールを楽しめた時代だったと、私は密かに懐かしく思っています。
シャーシは部品がたくさん集まった様子が再現され、ゴリゴリとした造形をしています。ロゴや車名はもちろん、なんと実車のスペック表記まで刻印されています。これは動体である車への最大の敬意表現であり、おもちゃだからと妥協ぜず「本物」を届けたいというドイツらしい質実剛健さの表れではないでしょうか。
今回紹介した「ジク ポルシェ カイエンターボ」は、ものづくり大国ドイツが産んだ超正統派な遊ぶためのミニカーです。子どもたちのために本物と呼べるミニカーを、という思いで作られた、精巧ながらもどこか温もりを感じるミニカーでした。この魅力は大人になってから手に取るとまた一層身にしみて感じます。大人も子どもも虜にしてしまう素敵なモデル。これを読んでくださった方にも是非味わっていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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リアのヒッチメンバーで、さらにあそびが拡がります。


