「日本仕様には設定のない6速MTで走りたい!」を現実に
世の流れと逆行するマニュアルミッション一択。
文/石山 英次写真/本間 章悟
シボレー カマロ 1LEとは、2013年モデルから追加された「1LEパッケージ」装着車のこと。
V8搭載のSS、しかもMT車にしか装着できないハイパフォーマンスオプション。主に走り向けの装備を多数装備しており、1989年型サードカマロ時に設定されていたオプションコード「1LE」を再現したものである。
2017年からはV6、2019年からは直4モデルにも装着が可能になり、本国では年々バリエーションを増やしているMT専用パッケージであるが、日本仕様には設定されていないからBCDのような直輸入車を扱う専門ショップから入手するほかない。
だがこの1LE、本国でもかなりの人気車であり、中古車も割高ということもあって滅多に入荷しない。実際、今回入手された山崎氏は約一年待ったという。
「正確には、V8のAT車に乗っていまして、その後乗り換えを検討した時点から乗り換えるまでが一年ということです」
実は以前BCDのショールームに展示されていたブルーのSS 1LEにひと目惚れ。だが、その時点では購入が叶わず、D車中古車のV8 SSのAT車を購入したのである。
最初は初のアメ車、初のカマロ V8に満足していたものの、カマロ通じて知り合った方々の中にマスタングのMT車に乗っている方がいて、次第にMT車への想いが再燃。極めつけが友人が先に購入した白いカマロV8 SS 1LE。
「横に乗せてもらい自分のAT車との明確な違いを感じてしまいました。エンジンサウンドも加速感も何もかもがダイレクトかつ刺激的で、全く違うように感じてしまったんです。その後即日注文しました(笑)」
山崎氏が依頼した1LEの購入条件は、ボディがブルーであること、そして2018年までのフェイス仕様であること。
フェイスチェンジした2019年以降にも1LEは存在するが、山崎氏はカマロらしいワイルドさを求めて、あえて2018年型をチョイスしたのである。
もう少し具体的に説明すると、6代目カマロは2016年に登場し、2019年でフェイスチェンジを行っている。すなわち2018年モデルとはフェイスチェンジするちょうど前の個体であり、あえて旧型を選んだということになる。
この1LE、いわゆるメーカーチューンモデルということになり、足回りや駆動系、空力の変更がメインになるから、チューンモデルと言えども走りのバランスが崩れていないことが最大のウリ。
その主な装備だが、マットブラックのフードにフロントスプリッター、20インチホイール(前285/30ZR20 、後305/30ZR20)にグッドイヤーイーグルF1スーパーカータイヤ。
サスペンションにはマグネティックライドコントロールにモノチューブダンパーやスタビライザー等、そしてブレンボブレーキ(6ピストン)に電子制御ディファレンシャルの3.73レシオが入る。
言ってみれば、カマロZL1の足回りが導入されていると言っていい内容。=600hp以上のZL1を支える足回りがノーマルV8モデルに組み込まれているのだから、その安心感と安定感、および攻めたときの懐の深さはノーマルSSの比ではないだろう。
一方インテリアは、フラットボトムのステアリングにショートシフター、スエード製バケットシート等が中心となり、それだけでも十分に魅力的。
くわえてブルーのボディとブラックの各パーツの取り合わせが素晴らしく、それにプラスした走りの性能向上と伴って圧倒的な雰囲気の良さというかオーラを醸し出している。
そんな1LEがBUBUのBCDにやってきて山崎氏に納車された時点でのインタビューである。
BCDは過去にも数台1LEを直輸入してきているが、それらのほとんどが日本に上陸する前に sold out 。今回の1LEは山崎氏による注文という形だったが、それ以外でも常に大きな反響をもたらしている車両のひとつ。
聞けば「本国にも1LEの出物が非常に少ないんです」という。
もちろん本国での人気というのもあるが、それと同時に人気車両だけに距離を走った車両が多いという特徴もある。すなわち日本に直輸入したくても難しい車両のひとつでもあるということだ。
だが、そんななか2020年型の1LEがもうじき日本に入港するというから楽しみである。
この年代のカマロは総じてボディの強靭さが素晴らしく、引き締まったハンドリングや大径ブレーキの効きと相まってとにかく走りが気持ちいい。そのMT車の1LEとなるのだから、素晴らしいに決まってる。しかも、程度安定のBCD車両であれば、十分に長く楽しめるはずである。