希少価値の高いV8エンジンが載るマッスルセダン
走行5.4万キロ走行のBCD認定中古車を徹底チェック
文/石山 英次写真/古閑 章郎
2008年にデビューした現代版ダッジ チャレンジャーは最初から昔の復刻版を目指していたが、2005年にデビューしていたチャージャーに関して言えば車名だけの流用で、自由な発想でデザインされていた。往年のチャージャーは2ドアクーペだったが、実際に登場した現代版チャージャーは4ドアセダンだったからだ。
とはいえ、事実上チャレンジャーとチャージャーは兄弟車ということで、搭載されるパワートレインやシャシーは同じだから、パフォーマンス面で劣るということはほとんどなく、考え方によってはチャレンジャーの4ドア版と考えてもおかしくはない=想像以上に魅力的なマッスルセダン。
ということで、あなたが今ダッジ チャレンジャーに乗っているとする。で、数年楽しんだ後に家族構成に変化があった場合、「チャレンジャーではキツイ。SUVやバンに乗り換えるか」となった場合、どうする? ちょうどいいSUV&バンがあるか?
もちろん、フルサイズの最高峰、キャデラック エスカレードやリンカーン ナビゲーターへ行ければそれはそれで十分に幸せだろうが、「それだとデカイ(高い)」という方も多くいるはず。なら、ミッドサイズは?
フォード エクスプローラーの高年式車があればいいが、ダッジ系に乗っているとなかなかフォード車には行きにくいというのもあり、高年式のダッジ デュランゴに向かう可能性が高い。
だが、デュランゴの国内での取り扱いは意外に少なく、よほどのグッドタイミングが重ならない限り見つからない。仮に見つかったとしても、果たしてチャレンジャーからSUVへの乗り換えで満足できるのか?
あれだけレスポンス良く小気味良く動いた操縦性からの変化に耐えられるのか(主に重心の高さがもたらす走行性能の変化に)
くわえて、車高が高くなりルーフも高くなるから、その開放感に「いいね」と思えればそれはそれでOKだが、そう言った部分に拒否反応を示すなら…。そう、ダッジ チャージャーがいい!
まあ、個人的な「セダン好き」という好みが反映されている部分も大いにあるが、何よりパワートレインがチャレンジャーとほぼ同一であるから、走らせれば「あの音」がするし、ハンドリングもチャレンジャー比マイナス10%くらいのレベルに保たれている(私見)から十分に楽しい。
それでいて、チャレンジャーほど街中に流通していなのも個人的にはそそられる。チャレンジャーとチャージャーが両方買えるというなら、筆者は間違いなくチャージャーを選ぶ。
余談だが、アメリカのドラマの中で警察&SWATの車両としてチャージャーをよく見かける。わずかだが、そう言った見た目からの憧れも強い。
ダッジ チャレンジャーは、ボディ形状がスポーツクーペであるから着座位置が低く、ボディ室内の囲まれ感とともに、ドライバーは乗る時点からある種のスポーツ走行をイメージしている部分がある。
だが、チャージャーはいわゆる4ドアセダン。まず乗り降りが楽だし、室内空間もチャレンジャーより開放感を感じるし、着座位置も若干高く、着座姿勢も快適であるから、そういう意味ではSUVに乗る感覚と同じ接し方が可能。
それでいてSUV比で車高は低く、ハンドリングもスポーティでV8エンジンを存分に発揮出来るし、安楽ドライブも可能でありながら、そんな状況でも200キロオーバーが可能である。
ダッジブランドであるからこその硬派なデザインも健在だし、「乗り換えるべき候補車として最適な存在ではないか」、と思うわけである。
同時にV8エンジンが載るセダン自体が今や稀だ。しかも、そのV8エンジンが6.4リッターという絶滅危惧種の大排気量エンジンであるわけだから、断然価値が高いと言える。
それともう一つ。カーボンニュートラル時代において、チャージャーのような大排気量V8エンジン搭載車は真っ先にラインナップから削られてしまった存在だった。
だが先般2026年にダッジから再びV8エンジンが復活するとの公式発表があったから、米国人もV8エンジンへの憧れがかなり強いし、無くなったことを嘆いていたのだろう=メーカーを動かすほどのV8復活の声が上がっていたのだ!
だからこそ、6.4リッターV8エンジン搭載チャージャーである。取材車は2019年型 ダッジ チャージャー R/T スキャットパック。走行5.4万キロのBCD認定中古車である。
BCD認定中古車とは、BCD車両として販売された車両が乗り換え等によってBCDに戻ってきた車両のことであり、認定車両として認められた状態の良さを示している中古車のこと。
それらは当然、BCDによって車両精査と点検&メンテナンスが行われており、何よりBCDの管理ユーザー車として定期的なコンディションチェックが行われていた中古車車であるから、そうでない車両を購入するよりも安心感が断然高い。もちろん無事故車両である。
くわえて、チャージャーに関して言えば、前述したが、チャレンジャーよりも日本に輸入されている数が圧倒的に少ないから、欲しいと思ってもなかなか巡り会えない個体である。そういう意味での希少性も高いのが392エンジンを搭載したチャージャーである。
続けて、メカニックに各部のチェックを行ってもらった。この車両はBCDの自社輸入の認定中古車であるが、BCDといえば横浜店というイメージが強い。だが、実際にはBUBU各店舗でも扱われている。
当然、アフターフォローにおいても全店において同レベルが確保されているから変わらない。その点にも留意して進めてもらった。
まず、内外装を一通りチェックしたのちに、エンジンルームやリフトに載せ下回り&足回り等のチェックを行う。内外装に大きな瑕疵がないのは、取材撮影をしていて確認できたが、下回りは滅多に見られるものではない。
そういう期待を込めて下回りを確認したが、5年落ち5.4万キロ走行車にしては非常にクリーンな個体だった。まずヒットした形跡はなく、各部にサビや漏れの跡も皆無。メカニックによれば、ドライブシャフトにガタが出る個体が稀にあるということだが、この個体においてはその予兆すらない。
ちなみにドライブシャフトにガタが出ると走行中の異音にて気づくという。その後、異音に振動が加わりその時点でほとんどの方が気づくというから、異変を感じている方がいれば診てもらう必要があるだろう。その他排気漏れもなく、サスペンション関連においても異常を感じさせる部分は全くなかった。
続けて、エンジンルーム内を確認。オイル、冷却水のチェックを行う。ともに問題ないが、この部分にちょっとした注意事項が。
使用しているエンジンオイルは、モパーの純正オイルの純正指定粘度というが、オイルに関しては、夏を基準に交換サイクルを検討するのがオススメという。
というのは、年々夏の気温が非常に高くなっているから。くわえて大排気量エンジン自体の発熱量が多いからエンジンオイルへの負担が増えている。なので、夏を迎える前にクリーンなオイル状態にした方がクルマ的に良いだろうということ。
同時に、冷却水の減りが確認されることが多いから、夏前にオイルを交換し、その際冷却水の確認&減っていれば足す作業を行えば、万全な状態で酷暑を迎えることができるだろうということである。
ちなみにBUBU宇都宮では、ピットインした車両に関しては、指定作業中に、それ以外の気になる箇所のチェックを同時に行ってくれるというから、潜んでいた別のトラブルが発見され大事に至らずに済むということもあるというから、クルマに負担がかかる夏前のチェックは必要不可欠とも言えるだろう。
なお、6.4リッターV8エンジン搭載車には、ウオーターポンプのガタが発生することがあり、水漏れやベルトが外れるというトラブルが出ることがあるという。もちろん、この個体にはその予兆はなかったが、頭に入れておく必要があるかもしれない。
いずれにしても、今回取材したBCD認定中古車は、メカニカルな面においても非常に良好な個体であったことが確認された。