PICKUP CHOICE

“PICK UP CHOICE” 2020年モデル ジャガーXJ XJR575

文/S.Hiramatsu

優雅さと官能的パワーの協奏

車両イメージ

伝統と革新、野生と理性

ジャガーといえば、新たに発表された4ドアGTサルーンEV「Type01」が記憶に新しい。そのコンセプトモデル「Type00」ではインパクトあるプロモーションと潔く切られたボディラインが描き出すきわめてシンプルな造形に、多くの人々が驚きを隠せなかった。伝統を大切にし、どちらかといえばデザイン面で保守的な印象さえあったジャガーが、EVを転換期に新たな時代を開こうとしているという動きは確実にある。

そんなジャガーの「XJ」は、長い年月をかけて培われた礎として「Type01」の土台であると同時に、ある意味では対極的な存在と言えるかもしれない。1968年のパリモーターショーでデビューし、同ブランドのフラッグシップとして、ラグジュアリーセダンの地位を築いた姿は自動車然とした美しい佇まいで、一目で高級車とわかるものだ。

さらに人々を惹きつけたのは、美貌に宿された官能的パワーである。その歴史の中でV12搭載モデルやスーパーチャージドV8搭載モデルをラインナップし、一度アクセルを踏み込めばたちまち後ろ足で蹴り出す獰猛さを秘めていた。しかし日常域では路面をしなやかに「いなす」走りで、「魔法の絨毯」と形容される。ボディも決して大げさなプレスや曲面の複雑さを足すのではなく、洗練された面質が理性的な印象。外見でパワーを誇張しないというのが一貫した姿勢として読み取れる。

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歴代最高パワーを誇る、サルーンの到達点

今回紹介する「XJR575」でその性能は頂点に達した。5.0L V型8気筒 DOHC スーパーチャージャー搭載。最高出力575PS、最大トルク700N(71.4kg・m)を発生させる。この圧倒的なパワーを、 全長5,135 mm×全幅1,905 mm×全高1,455 mmの堂々としたボディに宿している。

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フロントは横方向の流れを強調するようなライトやインテークの配置、サイド面との切替わりを示唆する絶妙なライン取りが特徴だ。くわえて、彫りの深さでより精悍な顔つきが現れている。ボディカラーのフジホワイトは英国車らしい気品を引き立てる。

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サイドビューはこの車の個性を示唆している。ブランドのフラッグシップらしい堂々と伸びやかなフォルムはリアで緩やかなカーブを描く。スポーティとも優雅ともとれる絶妙なクーペルックのスタイルは2009年のモデルチェンジから示されてきた方向性であった。さらに、FR車の特徴の一つとして、プレミアムレングス(フロントフェンダーアーチ後端からフロントドア前端)が長いという特徴がある。車体前方が長いのは大きなエンジンを積んでいる証と言うこともでき、それを示唆するかのようにブラックのガーニッシュが取り付けられている。決して大胆ではないが、こうした細部にパワーの片鱗が息づく。

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リアはルーフからの大きな流れを汲んだ有機的なライン取りのライトが特徴的だ。トランクは非常にシンプルな面で、車両の全幅が広いからこそ堂々とした威厳を放っている。下回りは4本出しマフラーがスポーティー。

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アルミホイールはテクニカルグレー。絶妙な光沢の上品な輝きが足回りを引き締める。スポークは細めで、赤いキャリパーがしっかりと存在感を放つ。

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インテリアは前方を大きくぐるりと囲みこむ特徴的なデザイン。空間全体の大きなワンモーションを感じることができ、ただでさえ広い室内により一層広がりを感じることができる。

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本革のシートにはクラシカルなステッチが施され、ソファのような質感とスポーツシートのホールド感の融合を味わえるものとなっている。

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リアシートも抜かりなく、セダンとしての居住性を誇る。そしてエアコンはリアシート専用のものが装備され、足元から快適な空気を送り込む。乗る人全員が快適に過ごせるような設計といえる。

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コンソールやドリンクホルダーはメッキを用いた煌びやかなもので、ラグジュアリーセダンらしいあしらい。円形の象徴的なダイヤルはシフトセレクター。トランスミッションは8ATとなっている。

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中央の時計にはスポーツモデルでよく見られるストップウォッチの機能はなく、英国高級車の伝統を受け継ぐ純粋なアナログ時計となっている。実際には0-100km/h加速をわずか4.4秒で実現するほどのパワーを持ちながら、あくまでもサルーンとしての室内設計がなんとも上品。

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フロントドア内側のスイッチ類。硬派で重厚な質感を、赤色のステッチがさらに引き締める。

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トランク容量は520L。なだらかなルーフラインを実現するため開口自体はやや狭めで、積み込み時の工夫が必要かもしれない。とはいえセダンとしては十分に広いスペースが確保され、荷物の多くなりがちな長距離も快適に流せそう。

今回紹介したモデルは、優雅でおおらかなスタイリングの中に猛獣の魂を秘めた1台であった。その圧倒的なパワーはこれ見よがしに誇張されることなく、凛としたサルーンの佇まいはさながら英国紳士のような気品を纏う。そんなクルマの中の野心を引き出せるのは、アクセルを踏んだ者のみ。居心地良いインテリアに包まれV8の咆哮を聴きながら、どこまでも走って行きたくなるはずだ。

この車両はBUBU MITSUOKA 柏ショールームにて取り扱っております。詳細はお気軽にお問い合わせください。

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