PICKUP CHOICE

“PICK UP CHOICE” 2021年モデル フィアット パンダ クロス4×4 4WD

文/S.Hiramatsu

“PICK UP CHOICE” 2021年モデル フィアット パンダ クロス4×4 4WD

まるでオモチャ!?アソビ心溢れた愉快なコンパクトSUV

車両イメージ

ピックアップチョイスとしてご紹介するのは、「2021年モデル フィアット パンダ クロス4×4 4WD」。遊び心たっぷりなフィアットがSUVを作ったらこうなる、と言わんばかりの見るからに楽しいビジュアルと6速マニュアルの操作感が魅力の、まさに遊べる一台だ。

フィアット近現代の傑作、パンダ

フィアットから初代パンダが登場したのは1980年のこと。数々の名車を生み出したジョルジェット・ジウジアーロ氏によってデザインされたパンダは、極めてシンプルな美しい工業的魅力に溢れつつ、安価で製造・販売できるコストの面でもフィアットに大きく貢献した。オイルショックの影響も甚だしい中発表されたこのモデルは、限られたサイズとコストの中でいかに広い室内を確保するかが重要であった。

ジウジアーロ氏は「パッケージング(室内レイアウトや機能部品などの各種配置)の鬼才」と呼ばれており、パンダも例に漏れず大人5人が乗れる安価なコンパクトハッチとして見事に成功を収めた。必要なものを必要なだけ持っているという設計思想がこの車の本質そのものだったのだ。

4×4の誕生は1983年であり、「小さくて人も乗れる」というパンダに、「どこへでも行ける」という新たな選択肢を与えた。また、その後もバンタイプの貨物モデルなど派生車種が増えていき、機能に徹したシンプルな車体はあらゆる場面で人の生活を支える価値を持つ存在となってゆく。極めて簡易的な構造を持った車体が可能にした、人を豊かにする車の理想像がそこにはあった。

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市場の成熟と共に生まれた「アソビ」の価値

ボディを形作るプレスの技術や複雑な立体を作れるようになった加工技術、そして何より車そのものに求められる体験価値への期待。こうした要素は自動車市場を成熟させていき、走破性に優れた4WDの車両においては、大人が本気になって楽しめる外遊びの相棒といった側面が一層増していく。

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今回取り上げる2021年型パンダ クロス4×4は一つ一つのパーツのモジュール感が特徴的なオモチャのようなデザインが見るからに楽しい。フォグランプ、ウインカー、バンパーガード、樹脂製のフロントマスクなど、それぞれの部品がプラモデルのようにガチャガチャと組み合わさって生まれたようなビジュアルに仕上がっている。かつて合理性を極め続けたパンダが長い年月を経て市場と共に楽しさを獲得した姿と言えるだろう。4輪駆動であること、道具であること、そして遊びに行けること。合理主義から生まれた車は、今や遊び道具としての価値を体現する存在になったのである。

全長3,705mm、全幅1,665mm、全高1,630mmの車体に0.9L直列2気筒インタークーラー付きターボを搭載。決して大きくはないエンジンだが、ターボの力と6速アニュアルが組み合わさることで操る楽しさを存分に味わえる仕様となっている。最大出力85PS(62.5kW)、最大トルク145N・m(14.8kgm)。

ボディ造形は丸みを帯びた愛らしいシルエットやフェンダーの存在感が愛らしく楽しげ。フロントマスクの黒い樹脂部分は足回りにまでつながってデザインされており、ボディを囲うプロテクト感を強く印象付ける。さらにヘッドライトに重なるように配置されたサーチライトのようなユニットが誘う、冒険に出かけたくなるような好奇心。下回りには大胆な開口が目を引くアンダーガードを備える。フォグランプが覗く個性的なそのビジュアルは、オフロードでの機能性を遊び心と共に示唆している。

また、この車のように要素の多いモデルは一つ一つのディテール処理に注目しがちだが、全体を見た時のトータルバランスも特筆すべきものである。モジュール構成のような複雑な嵌合形状(部品同士が凹凸で互いにはまり合う形)が映えるのはそのサイズ感・配置関係の絶妙さやボディの美しいプロポーションあってこそ成り立つものだからである。

サイドから見るとコロンとした塊感の強いボディにリフトアップされたタフさが自然なバランスで融合しているのがわかる。サイドパネルの「cross」ロゴ入りのプレートも相まって下回りのボリュームはかなり大きく、どっしりとした安定感のあるサイドビューに仕上がっている。サイドとリアのウインドウを別の小さいウインドが繋いでいるような独特のグラフィックも特徴的だ。

リアも下回りの存在感が強く、アンダーガードが目に飛び込んでくる。そこに空いた穴からフォグランプが覗く構成はフロントガードとの一貫性が見てとれる。テールライトはよくある縦バー形状と思いきや、3つに分かれた独立のライトが立体的に飛び出すような造形に。こうしたあしらいの一つ一つが積み重なり、楽しいオモチャのような、見るだけでワクワクする姿を作り出している。

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スポークの無骨さが魅力的なオフロード仕様のアルミホイール。奥行き面がしっかりと取られ、構造体としてのガッシリとした印象に仕上がっている。センターには「panda」のロゴがあしらわれる。

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インテリアは角の取れた優しい形状でありつつ、アウトドアのワクワク感を高める硬派な樹脂ブラックにレッドの差し色でまとまっている。インパネの素材感はかなり特徴的で、リサイクル素材によるランダムなパターンが自然との調和を予感させる。

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角を持たず、わずかな丸みを伴う親しみやすい形状の操作系。物理スイッチの存在感はもちろん、その遊び心あふれるあしらいに思わず心が躍る。2つのユニットが緩やかに繋がる造形がなんともかわいらしい。

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シートはレッドのステッチが効いたややスポーティーさもある雰囲気に素朴なファブリックの色合いで、アクティブだけれど気張りすぎない心地よいデザイン。crossの文字がオフセットされた配置で置かれ、毎日着られるラフなスポーツウエアのような装いだ。

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この車両の大きな魅力はこのレバーで操る6速マニュアルトランスミッション。2021年登場の限定車であったこのパンダ クロス4×4 4WD」は、街乗りもできるライトなSUVでありながらマニュアルモデルのみのラインナップであった。

走り出すと2気筒のターボエンジンのポコポコという音と振動が独特の運転感覚を生む。2気筒という少ない気筒数ゆえにその内部で起こる燃焼の一回一回がしっかり音として認識できるからである。これが小さな車体に大きなタイヤでトコトコと歩いて行くようなパンダ4×4のキャラとピッタリ合っており、かわいらしいペットのような愛嬌がある。

そして大排気量を追い求めず、必要なものを必要なだけ、という思想もまた初代から続くパンダらしさ。素朴な小気味良いフィーリングをダイレクトな操作感で、現代の遊び心あふれるインテリアと共に楽しめる。まさに大人のためのアソビ道具といった仕上がりだ。

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リアシートを倒して使うことを考慮し、裏面が汚れや水に強いパネル加工となっている。実用面はもちろんのこと、無骨なパンチング加工の道具感もキャンプギアとよく似合う。容量は通常時225L、シートを倒すと870L。

今回ご紹介した「2021年モデル フィアット パンダ クロス4×4 4WD」は、実用車として大ヒットした名車「パンダ」が遊び心たっぷりに進化し、道具としての魅力が詰まった一台。普段の街乗りから気兼ねなく使える親しみやすさとアウトドアでの実用性、そしてどこにいても映える雑貨的ビジュアルの魅力。ガチのオフローダーではないけれど、ちょっとだけ足を伸ばしたくなる。

さぁ、好きなものをなんでも詰め込んで、イタリアンのこなれ感をひと振り。トキメキを探す冒険に出かけたら、楽しい発見は近くに転がっていると教えてくれる。

この車両は、フィアット / アバルト国立で取り扱っております。詳細はお気軽にお問い合わせください。

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