MOTOR MECHANIC
MOTOR MECHANIC | VOL.7 | エンジン不調・振動

MOTOR MECHANIC | VOL.7 | エンジン不調・振動

未だ高い人気を誇るハマーの末弟「H3」の入庫です

今回ご入庫いただいたのは、2010年のブランド終了後も中古車市場で相変わらずの人気を誇る「HUMMER」より当時大人気であったH2の弟分「H3」です。
HUMMERは軍用車から派生したブランド。軍用車然としたエクステリアは市販車としてはまさに異質であり、個性を求めるユーザーに今でも愛されています。

この「H3」は兄貴分の「H2」譲りの無骨な外観を持ちながらも洗練されたインテリアと特徴的なエンジンを持つ特徴的なクルマです。エンジンも242hpを誇る3.7ℓの排気量と市販車では数少ない直列5気筒 / DOHC 4バルブヘッドという組み合わせ。スムーズさとトルク型の出力を狙って搭載されたのでしょうね。

エンジン不調と振動、警告灯が点灯...

ご入庫された車両をチェックすると、チェックランプが点灯して車両とエンジンの揺れが確認できました。スキャナー診断を行うと、特に1番シリンダーに2万回越えとなる大量のミスファイア履歴が確認できました。その他のシリンダーでも数は少ないながら同様の履歴が残っています。

まずは疑うべき箇所から原因を探ります。エンジンカバー / 補機類を外すと現れるシリンダーヘッド、そしてミスファイアを起こしてる張本人である、イグニッションコイルとスパークプラグを外します。

まずはスキャナー診断で2万回以上のミスファイアが発生していた1番シリンダーのイグニッションコイルとスパークプラを外してみたところ、コイル本体もですが、プラグがは全体的に酷い状態になっています。シリンダーヘッド側のプラグホールを確認すると水が侵入。念の為他のシリンダーも確認してみると、1番シリンダーほどではないものの水の侵入が確認できました。

車両イメージ1番シリンダーを筆頭に全てのシリンダーホールへの侵入が確認できました(左から順に1-5)

幸いエンジン本体内への浸水は起こっておらず、イグニッションコイルやスパークプラグも問題がないため、シリンダーホールの清掃とイグニッションコイルの防水処理を行なって再装着。

再度スキャナ診断機で履歴をクリアしてデータを確認、エンジン始動でミスファイアが発生していないこを示す、カウント0を確認。走行テストでも再発せず作業完了となりました。

さて、次はどこからシリンダーホールに浸水したのか突き止めねばなりません。実際はこのような地道な作業が困難を極める場合があるのです。

浸水箇所を探せ

浸水場所を捜索するため、シャワリングテストを実施。エンジンルーム内への浸水と言うことは大体察しがつきます。そのあたりを中心に水を掛けてどこから侵入しているのか確認したところ、見つけました。

ワイパーカウリングのシール部分からであると特定。
染み出した水が、シリンダーヘッド上に滴下することが今回のご入庫いただいた症状の根源でした。

しかし、この車両も生産から13年が経過しこの部分のパーツが既に生産終了となっているため防水テープで処置を行いました。

いままで問題なくとも、集中豪雨などの自然環境の変化や経年劣化により突然今回のような事象が発生することも十分に考えられます。日頃の点検でもなかなか発見は難しいのですが、何かいつもと違う時は迷わずご相談ください。

整備データ

[ 車 両 ] 2009年式 ハマー H3
[ 作業内容 ] エンジン不調・警告灯点灯(チェックエンジン)
[ 価 格 ] お問合せください

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