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BUBUがお届けする連載企画 “ナレッジ” | Showcase.40 「キャデラックXT4 × 藤田実寿」

第40回目は数々の自動車専門誌を制作してきた「藤田実寿」さんにご登場いただきました。

BUBUがお届けする連載企画 “ナレッジ” | Showcase.40 「キャデラックXT4 × 藤田実寿」

文/プロスタッフ写真/内藤 敬仁

世界的な潮流に沿って誕生したキャデラック初のコンパクトSUV

新型キャデラック試乗の2台目は、キャデラック初のコンパクトSUV、XT4だ。

大きいことが高級であり、高級であるためには大きくないといけなかったアメリカ自動車社会のなかで、高級車として育ったキャデラックには、かつてコンパクトカーという選択肢がなかった。
しかし、ブランドのグローバル化と、世界的なプレミアムコンパクトなるクルマの流行によって誕生したクルマがATS(モデルチェンジを機に現行モデルでCT4へと名称を変更)で、これをそのままSUVに当てはめたのがXT4だ。つまり、XT4はキャデラック初のコンパクトSUVというわけだ。

車両イメージキャデラック XT4

コンパクトボディでもキャデラックらしさは損なわれていない

XT4のボディサイズは、全長4,605mm×全幅1,875mm×全高1,625mm、ホイールベース2,875mmと、日本でもギリギリ実用的といえるサイズにとどめられている。

XT4が小さいといっても、それはアメリカ人の感覚であり、日本人の感覚からすれば決して小さいとは感じない。しかも、そのたたずまいはキャデラックのSUVそのもの。さすがに長兄のエスカレードほどの威圧感とふてぶてしさはないが、デイライトの形状や縦型のテールレンズなど、ほかの兄貴分であるXT6やXT5と共通のデザインエレメントが散りばめられており、小さくて安っぽいSUVという印象は一切ない。

内装もキャデラックの哲学に基づいた高級感に溢れている

兄貴分となるXT5やXT6に通じるボディを持つXT4だが、それはインテリアも同様で、先に試乗したCT5と同じくキャデラックの哲学に基づき、本物の素材を使って丁寧に仕上げられている。乗った時の印象が、ほとんどCT5と同じだったことからも、コンパクトSUVといえどもキャデラックが手を抜いていないことがわかる。もっともXT4は、ロングホイールベース化によって広い車内が実現しているから、コンパクトSUVに乗っていると感じることはないだろうが……。

この広くて高級感あふれるインテリアには、最先端のデジタルデバイスも破綻なく組み合わせられているのが特徴で、キャデラック自慢のユーザーインターフェースである「CUE」を使ってさまざまな機能を呼び出して使用することが可能だ。

XT4では8インチタッチディスプレイの下にあえていくつかのスイッチを設け、エアコンの設定などをこのスイッチでできるようにしている。前世代の「CUE」では、何もかもがタッチディスプレイで設定するようになっており、設定画面まで行きつくまでの階層も深くて操作性に疑問があったが、個人的には視線を送ることなく操作することができる最新世代のこのシステムのほうが、頻繁に使用する機能に関しては使い易いと思う。

車両イメージ本物の素材を使い丁寧に仕上げられているインテリア

クラストップレベルのパワー&よく出来た気筒休止システムで快適な走り

XT4のパワートレインは、同時に日本上陸を果たしたセダンのCT5と同じ2ℓの直4ターボ。なぜかXT4は最高出力が230psに抑えられているが、それでもクラストップレベルの出力だから不満はないだろう。

また、今回の試乗では試すことができなかったが、このエンジンは、低負荷時には2気筒を休止して燃費を稼ぐアクティブフューエルマネージメントシステムを搭載している。噂によるとこれがまた非常に自然に気筒休止するようで、2気筒で走っていることを感じさせないそうだ。2気筒というとノイズも気になるはずだが、逆位相の音波を発して不快なノイズを打ち消すBOSEのアクティブノイズキャンセレーションが威力を発揮しているのかもしれない。

駆動方式は基本的にはFFとなるが、ドライブモードや走行状況に応じて後輪にもトルクを伝達する。

オフロードを走行したわけではないので、SUVとしての真の実力を試すことはできていないが、舗装路を走る限りにおいては快適な乗り心地と気持ちよいスポーティさを両立しており、XT4が名前だけのキャデラックでないことを感じることができた。機会があればぜひ自慢の4WDシステムも心ゆくまで体験したい。

キャデラックらしい走りのしつけのよさには、キャデラックがSUVの本場であるアメリカのブランドであることを再認識させてくれるに十分なものであった。

失ったもの以上に得たものが大きいのが現代のキャデラック

失ったもの以上に得たものが大きいのが現代のキャデラック 今回、CT5とXT4というグローバル化が果たされた2台の最新キャデラックに試乗したわけだが、ボクの最終的な結論は……「キャデラック、やっぱいいわぁ」である(元来よりアメリカ車びいきなのであしからず)。 

どちらのモデルにも右ハンドルの設定がないなど、ライバルにはあってキャデラックにはないものも多い。かつてのアメリカ車が持っていた個性のいくつかも失われた。でも、逆に新たに手に入れた個性により、クルマとしての魅力は増している。あえてキャデラックを選ぶだけの魅力がそれぞれのモデルにはあったと思う。 

もしもCT5とXT4が隣の車線を走っていたら、ボクはきっと思わずニヤリとしてしまうはずだ。

車両イメージ

【プロフィール】

藤田実寿(フジタ ミトシ)/ 自動車雑誌編集者

大学を卒業して出版社に就職。以来、アメリカ車専門誌(デイトナ)→輸入車中古車情報誌(Uチョイス)→イタ・フラ系自動車誌(ティーポ)→趣味系webサイト(ホビダス)→スーパーカー専門誌(ロッソ)→高級ライフスタイル男性誌(GG→マデュロ)と数多の編集部を渡り歩き、現在は新車系情報誌(CARトップ)の編集部に在籍する雑食系自動車雑誌専門編集者。

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BUBU MITSUOKAがお届けするスペシャルコンテンツです。
自動車に限らず、幅広い分野からジャーナリストや著名人をお招きして自動車を中心に様々な角度から
切り込んでいただく連載企画です。

今後も多数展開いたしますので、お楽しみに!毎月配信。

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