BUBUがお届けする連載企画 ナレッジ Showcase.19 塚本裕之

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取材企画
ナレッジ ! Vol19. 塚本裕之

 

 BUBUがお届けする連載企画 "ナレッジ” | Showcase.19

「トライアンフ×塚本裕之」

  第19回目は元レーサーで、現在はÖHLINSの普及活動を行う「塚本裕之」さんにご登場いただきました。
 2018年6月1日  写真 内藤敬仁 / 構成 プロスタッフ
 
 

トライアンフ横浜港北オープン1周年を記念した特別限定モデル『Street Cup ÖHLINS Edition』の発売が開始された。

 
 
 
『Street Cup ÖHLINS Edition(ストリートカップ・オーリンズ・エディション)』は、TRIUMPH 900cc Streetシリーズに『R』の性能を備えた究極の『Street Cup』として誕生したモデルであり、フロントサスペンションには、オーリンズ社新開発の『NIX22タイプカートリッジキット』を装着。リアサスペンションには、同じくオーリンズ社のツインショック『S36ER1L』を装備。さらには、フロントブレーキに『ブレンボ社製4ピストンAXIALキャリパー』を標準装備することで、制動力とコントロール性を両立させた上質で安定した走りを実現している。

ルックス的には、発売以来要望の声が高かったクリスタルホワイトとシルバーアイスを基調に、純正のイメージとは一味異なるスポーティーさを強調したグラフィックをデザイン。同時にLEDウィンカーやフェンダーレスキットを標準化し、オリジナリティを演出。さらには、THRUXTON譲りのセパレートハンドルを装着することで、究極のカフェレーサースタイルを完成させたのが特徴となっている。

足回りと外観に通好みの手が加えられた今回の『Street Cup ÖHLINS Edition』の車両本体価格は、税込156万6000円。追加装備の内容を考えれば非常にお買い得と言える価格設定と言えるだろう。

今回のナレッジでは、『Street Cup ÖHLINS Edition』の企画が持ち上がった当初から、車両の製作に協力してきたという(株)カロッツェリアジャパンの塚本裕之氏に、この魅力的な特別限定モデルのポイントをお伺いした。
MFJ全日本ロードレース選手権国際A級GP125クラスに参戦していた元レーサーであり、レース活動引退後はÖHLINS製品の日本ディストロビューターである(株)カロッツェリアジャパンのスタッフとして、長年に渡って全国でÖHLINSの普及活動を行ってきた塚本氏は、レーサー、パーツ開発者、営業、バイカーという異なる立場からそれぞれの視点でバイクを語れる「プロ中のプロ」である。そんな塚本氏から見た『Street Cup ÖHLINS Edition』の魅力とは?
 

『Street Cup ÖHLINS Edition』の魅力

 
編集:今回はよろしくお願いいたします。早速ですが、まず最初に今回試乗していただく『Street Cup ÖHLINS Edition』と塚本さんの関係性を教えてください。

塚本:きっかけは、トライアンフ正規ディーラーであるトライアンフ横浜港北さんから「開店1周年を記念してプロデュースする車両があり、その足回りにÖHLINSを使いたい。この車両を5台限定(予約が上回ったときは増産可能)で制作したいのだがご協力願えませんか?」という内容の企画を頂いたことです。
トライアンフ横浜港北の佐々木店長とは長いお付き合いですが、このお話は光栄だし嬉しかったですね。なんと言ってもネーミングが『Street Cup ÖHLINS Edition』ですからね(笑)。こんなにステキなことはありません。また、この企画には光岡自動車さんの心意気も感じました。

編集:そのネーミング通り、今回の特別限定モデルには塚本さんの会社の取り扱い商品である『ÖHLINS』のパーツが装備されますが、どんな内容なのでしょう?

塚本:ÖHLINS製フロントフォークカートリッジとÖHLINS製リヤサスペンションが装着されています。
フロントについては、フロントフォークカートリッジの内容を変更しています。『変更』とは、OEM(ノーマルパーツ)のインナーチューブ、アウターチューブはそのままに、減衰力を発生させるインナーパーツ一式を変えることを意味します。これに合わせて、メインスプリングも専用のものになっています。
ÖHLINS製フロントフォークカートリッジに変更することで、低粘度のフロントフォークオイルを使用することが出来、冬の低温時でも夏の高温時やサーキットなどでの高負荷時でも作動フィーリングの変化が少なく、安定した作動が約束されます。また、オリフィスと多段積層バルブの併用活用により、上質で快適かつスポーツ性の高い、作動フィーリングが得られます。
また、基本性能のアップに加え、OEMではないアジャスタブル機能も魅力的です。スプリングプリロード、圧側減衰力、伸び側減衰力の調整が可能となっているので、体重や装備、走行場面において変化を楽しむことが出来ます。

次にリヤサスペンションに関してですが、こちらはユニットそのものが代わっています。
Φ36mmという大口径のピストンを採用し、OEMサスペンションよりはるかに多くのオイル量を確保。これにより、サスペンション性能のロングライフ化、ヒートによる性能低下の抑止が成されています。
オリフィスと多段積層バルブの併用はもとより、高圧ガス封入によるキャビテーション抑止の機能も持ち合わせます。
アジャスタブル機能としては、スプリングプリロード、圧、伸び双方に効くダンピング調整機能に加え、スタンダード長ベースでプラス方向に10mm伸びる全長調整機能が備わっているので、スポーツライディングの第一歩とも言える全長調整によるハンドリングの変化を楽しんでいただけたらと思います。
ちなみに、通常のStreet Cup用ÔHLINSはブラックスプリングですが、今回の『Street Cup ÖHLINS Edition』は、特別仕様でイエロースプリングがチョイスされています。性能的には関係ない部分ですが、ビジュアル面では良いアピールになっているのでは?と思います。

なお、フロントフォークカートリッジ、リヤサスペンション共にオプションスプリングをご用意しております。ガイドラインとして、ベース体重が70Kg。前後15Kg位までの方にはスプリングプリロードとダンピング調整で、その範囲外の方にはオプションスプリングの選定をお勧めいたします。

編集:なるほど。さすがに車両開発段階から塚本さんの様なプロフェッショルなるが関わっていただけあるというか、『Street Cup ÖHLINS Edition』の足回りというのは、ただ既存の商品をセレクト&装着したわけではなく、十分に検討された上でセッティングされているわけですね。
さて、カラーリングなども含め、完成車両をご覧になるのは本日が初めてと伺っていますが、実際に現車を目の当たりにした率直な感想をお聞かせください。

塚本:まず目に飛び込んでくるのは、クリスタルホワイトベースにシルバーアイスの太いライン、ゴールドのピンストライプにカラーリングされたペインティングです。センスの良さが感じられるし、塗装のクオリティが素晴らしいですね。
そして、シートカウルに施されたÖHLINSの「Ö」のロゴ。ベースペイントの上にロゴを載せてからクリアーをかけています。段差のない仕上がりには痺れました。外観については、信号待ちで隣にどんなバイクが並んでも「どうよ!俺の(私の)バイクは!」と心の中で言えること請け合いです(笑)。
フロントにマウントされた「Brembo」製2ピース削り出しキャリパーもいい感じです。正立フォークのバイクには、このAxialマウントが似合いますね。
他にも、セパレートハンドルKITも大きなポイントでしょう。OEMはドロップ型エーススタイルハンドルバーと呼ばれる前傾姿勢前提のバーハンドルですが、これをフォーククランプのセパレートハンドルに変えています。アッパーブラケットに横たわるバーがなくなったことで、ÖHLINSフロントフォークカートリッジのアイデンティティであるTOP CAP部がきれいに目視出来るようになりました。これはオーナーにとってうれしいことですね。ハンドルバーポストが不要になった穴の部分には、削り出しパーツが埋め込まれています。細部にまで仕上げに抜かりはありませんね。
現在のカスタム定番である「フェンダーレスKIT」「LEDウインカー」という絶対に外せないアイテムも組み込まれているし、先ほどもお話ししたスペシャルチョイスされたリヤサスペンションのÖHLINSイエロースプリングも良い感じです。
観ているだけでワクワクして、早く試乗したくなりますね(笑)。

編集:さて、実際に『Street Cup ÖHLINS Edition』にお乗りいただいて、一般道及び高速道路を試乗していただきましたが、率直な感想をお願いします。

塚本:まずは車体全体のイメージからお話します。
フロント18インチ、リヤ17インチのナロウタイヤと、大きめのフロントフォークオフセット量からなるハンドリングは、私世代からすると懐かしく実にしっくりくるものがあります。リヤタイヤに意識を持ち、フロントに荷重を預けず、腰で曲げる。リヤタイヤから曲がり、フロントタイヤは弧を描いて少し後からステアしてくる。このリズムが実に心地良く感じます。
基準車より1グリップ下げられたグリップポジションは、ライダーの胸と腹がタンクに近くなります。これは、最新スポーツバイクの「フロントに荷重を預けて初期旋回をしていく」ではなく、「バイクの重心に近いところで操作し、人車一体となってコーナーリングしていく」というスタイルに一役買っているように思います。
次に、車体姿勢(ディメンション)についてです。
ÖHLINSフロントフォークカートリッジに換装したことにより、フロントのネック部分が基準車と比較して引き上げられています。これは、フロントフォークの初期沈下量の見直しがなされた。ということです。基準車では「フロントがねばるな」という感じがありましたが、限定車では18インチタイヤの持つ軽快な特性が活かされているように感じました。
リヤに関しては、足つき性などは基準車と限定車の差はほとんどありませんね。
 
 
そして、次は作動性についてです。
ÖHLINSの一番の美点と言えるのが、「初期作動性の良さ」です。フロントフォークカートリッジを入れたフロントフォークとリヤサスペンションを換装したスイングアームは非常に良く動き、小さな路面の凹凸、ギャップを吸収してくれます。基準車と乗り比べれば、ハンドルグリップ、シート、ステップなどに伝わる突き上げが格段に減少しているのが分かると思います。この快適性については、市街地の法定速度走行でも十分に体感できるところです。
また、Bremboキャリパーを装備したことによる強力なストッピングパワーに対しても、急なノーズダイブが抑えられ、安心感のあるストローク感があります。同時に、ボトムエンド付近の安定感があります。急ブレーキ時においての安全マージンを大きく取ることが出来ますね。
高速道路では、レーンチェンジ時でのスタビリティーの高さを確認しました。軽快なのに安定している。ゆえに、素早く切り返す動作が出来る、素早くアクセルが明けられる。結果、安全マージンが上がるメリットが考えられます。

今回の試乗ではワインディング、サーキットでのテストは行っていませんので、ここからはあくまで私の憶測ですが、ワインディングでは、足回りの強みがより引き出されますので、楽しさはさらに広がるでしょう。
エッジグリップがより高いリプレイスタイヤを考えるのもよし。リヤサスペンションの車高調整機能を活用してさらに高いレベルの走りを体感されるのも良いでしょう。
走行シーンでいえば、コーナーリング時の安定性を武器とし、アベレージスピードを意識した走りで「駆け抜ける」が私のイメージです。ツーリングスタイルでいえば、日帰りか一泊。そして休憩少なめ。このバイクの持つハンドリングとライダーのリズムがシンクロし、いい汗をかけた時とても大きな満足感が得られると思います。

編集:専門的でありながらも、ビギナーでもイメージしやすい感想をありがとうございます。
さて、それでは最後に、開発に携わった人間として、また元レーサーとして、今回の特別限定車について総括してください。

塚本:『Street Cup ÖHLINS Edition』は、足回りに興味のある方でBONNEVILLE Modern Classics Rangeを検討されている方でしたら間違いない一台だと思います。正立フォーク用のÖHLINSフロントフォークカートリッジはOEMフォークとのパフォーマンスの差にきっと感動していただけると思います。
もっと広げると、ベテラン、ビギナー、男性、女性問わず好奇心の強い方に向くと言いますか、これが面白いと思ったら、突き進む方。他人の目より、自分の意識を重視する方。そんな方にオススメの一台ですね。

編集:本日は長時間の取材にご協力いただきありがとうございました。
 
 
 
 
 
 
【プロフィール】
 
塚本裕之(ツカモトユロユキ)
 
1960年生まれ。
16歳でモーターサイクルの免許を取得。ツーリングライダーとして北海道から九州、日本国内を旅する。
24歳より本格的にモーターサイクルのレース活動を開始。1986,87,88年とMFJ,全日本ロードレース国際A級GP125クラスに参戦。
1989年現役引退後、ÖHLINS製品の日本ディストロビューターである(株)カロッツェリアジャパンに入社。
現役時代のレース活動を活かして8年間MFJ全日本ロードレースのÖHLINSサスペンションサービス活動を行う。その後、営業にて国内をくまなく回り、ÖHLINSの普及活動を行いながら、日本独自の商品企画、開発を行う。現在の肩書きは二輪営業グループ・マーケティングリーダー。
現在の所有車は「SUZUKI GSX-R750 K7」と「HONDA HRC NSF250R」。

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