BUBUがお届けする連載企画 ナレッジ Showcase.18 山崎元裕

KNOWLEDGE! VOL.18
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取材企画
ナレッジ ! Vol18. 山崎元裕

 

 BUBUがお届けする連載企画 "ナレッジ” | Showcase.18

「Ford Mustang Shelby GT350 ×山崎元裕

  第18回目は、モータージャーナリストの「山崎元裕」さんにご登場いただきました。
 2018年4月20日  写真 内藤敬仁 / 構成 プロスタッフ
 
 

自分はなぜアメリカ車を好きになったのだろうか?

 
 
 
自分はなぜ、アメリカ車を好きになったのだろうか。それを考えながら、神奈川県横浜市にあるBUBU横浜のショールームを訪れた。
日本全国にワイドなセールスネットワークを持つBUBUの名前は、アメリカ車のファンには広く知られているところ。エントランスの自動ドアが開き、ショールームへと一歩を踏み入れると、その瞬間に素晴らしい景色が目前に広がった。そこにはニューモデルからクラッシックまで、マニアックなアメリカ車が整然と並んでいた。
 
そうだ、これがアメリカ車の世界だ。自分がアメリカ車に魅了された一番の理由、それはアメリカ以外の国に媚びることなく、ともかく独自の価値観というものを、デザインにおいてもエンジニアリングにおいても、アメリカ車はいつの時代も主張し続けてきたからではないか。それが人とは違う何かを求めていた自分には、とても魅力的なものに感じられたのだ。
 
自国以外の市場を意識する必要がまったくなかったアメリカ車は、それを用いるモータースポーツの世界にも独特な進化をもたらした。
 
 

半世紀以上の時を経てなお継承するストーリー

 
今回BUBU横浜店を訪ねたのは、最新の「シェルビーGT350」を試乗するため。このシェルビーGT350の初代モデルは1965年にデビューを飾ったが、それは前年の1964年に誕生したフォード・マスタングのセールスにさらに大きな加速度を生み出すため、当時のSCCAシリーズにおけるBプロダクション・カテゴリーに合致するレーシングカーを誕生させることを直接の目的としたモデルだった。
 
フォードからその開発を委託されたのが、かのキャロル・シェルビーが率いるシェルビー・アメリカンだ。SCCAのBプロダクションは、あくまでもロードモデルをベースとしたマシンで戦われるカテゴリーであり、シェルビー・アメリカンはそのために、より高性能なマスタングの開発を決断。それがシェルビーGT350として結実する。そしてそれから半世紀以上の時を経てもなお、シェルビーGT350のストーリーは現代に継承されているということになる。

ドライビング・インプレッションを報告する前に、まずは最新のシェルビーGT350を簡単に解説しておこう。
 
2015年に2016年モデルとして正式発表された現行型のGT350は、もちろんその前年に発表された、現在の第7世代マスタングをベースとしている。エクステリアデザインは、ベースのマスタングが第6世代のスタイルを継承したという事情もあり、いわゆるニューもモデルとしての斬新さは薄いが、GT350でさらに優秀なエアロダイナミクスを生み出すためのディテールが、マスタングとは異なる独特なアピアランスを生み出しているのは、やはりファンとしては嬉しいかぎりだ。

フロントに搭載されるエンジンは5.2LのV型8気筒自然吸気。5.2Lと表記するよりも、むしろ315ci=立法インチと書いた方がしっくりとくるのもまたアメリカ車の世界であり、またそこに脈々と受け継がれる伝統、そして価値観ともいえる。ちなみに初代GT350に搭載されたエンジンは289ci=4.7LのV型8気筒だった。
 
「Voodoo=ブードゥー」という呼称を持つ、現代のGT350用のV8エンジンが最も大きな特徴としているのはフラットプレーン・クランクシャフトを採用していることだ。パワー指向の高回転型エンジンを生み出すには、一般的なクロスプレーンよりも有利な立場にあるフラットプレーンだが、一方で振動などの問題を理由に、現在ではそれはフェラーリやマクラーレンなど、ごく限られたスーパースポーツ・ブランドのみがそれを採用している。
 
注目の最高出力&最大トルクは、526ps & 582Nmと発表されている。レブリミットは8250rpmの設定で、さらに組み合わせられるミッションがTREMEC社製の6速MTであることを知れば、走りへの期待はさらに大きなものになるだろう。

シャシーの進化も素晴らしい。フォード車としては初となる、磁性変化によって減衰力を瞬間的に変化させるマグネティックライドサスペンションを採用したほか、ブレンボ製のブレーキシステム、ミシュラン製のパイロット・スーパースポーツ・タイヤ等々のエクイップメントは、その代表的なトピックス。
 
ちなみに今回ドライブするのは2017年モデルのGT350で、この2017年モデルから装備内容はさらに充実し、走りをさらに極めるためのトラック・パッケージ・オプションと、電動レザースポーツシートやエアコン、オーディオ等々から構成されるコンビニエンス・パッケージ・オプションをともに装備することも可能になった。試乗車はまさにそのフル装備が実現した一台だ。

 

想像以上の扱いやすさと想像を超える刺激


シェルビーGT350はもちろんのこと、マスタングのコックピットに我が身を委ねるのは久しぶりだ。最後にステアリングを握ったのは、日本市場に2017年から導入予定だった右ハンドル仕様のモデルをオーストラリアでドライブした時。この直後にフォードは右ハンドル仕様の導入を待たずに日本市場からの完全撤退という決断を下したことは記憶に新しい。

ドライバーズシートからは、このコックピットがきわめて機能的にデザインされていることを直感的に知ることができる。センターコンソールには最新世代のアメリカ車らしく、インテインメントシステムのための大型モニターも備わっており、カスタマーのリクエストによっては、オプションでナビゲーションシステムを装備することも可能になるという。
 
操作系はどれも軽いタッチで、特にクラッチペダルの軽さには驚かされた。シェルビーGT350といえば、それはスパルタンなモデルなのだろうという先入観を誰もが持つのだろうが、このクラッチペダルを踏み込んだ瞬間に、それをオンロードで走らせることに対する不安は消える。エクステリアデザインから想像していた以上に、キャビンからの視界が良好であることも嬉しい。

ショールームをスタートして、しばらくは市街地でのドライブを楽しむ。まず印象的だったのはトルクフルなエンジンが演出する、快適な走りだった。ショートストロークのシフトを忙しく操作する必要はなく、セカンドやサードギアをチョイスしておけば、アクセル操作のみでATモデルのようなダルなドライブさえも楽しめる。
 
マグネティックライドサスペンションによる乗り心地も悪くはない。このGT350には、フロントに295/35R19、リアに305/35R19サイズのタイヤが装着されているのだが、その重量感を意識させることがないのは、サスペンション自体も高い剛性を持つからなのだろう。

一般道から高速道路へとGT350のノーズを向け、一気にトラフィックが少なくなったことを確認して、アクセルペダルを一気に踏み込んだ。感動的だったのはその吹け上がりのスムーズさと、高速域でのまさに全身を貫くかのようなパワーフォール。そのスペックから高回転型のエンジンであることは十分に想像していたのだが、それをはるかに超える刺激が、フラットプレーンを採用したこのエンジンにはある。
 
そしてこの刺激をさらに高めてくれるのが、ドライブモードによってボリュームや音質が明確に変化する、可変フラップを装備するエグゾーストシステムだ。個人的にはかつてアメリカの地で耳にした、非等長マニフォールドを採用した、最新のGT350Rのエグゾーストサウンドが今でも忘れられないが、このGT350でも走行中の車内は、実に魅力的な雰囲気に包まれる。

コーナーでの動きも軽快だ。スペックシートの車両重量の項には、1719kgという数字が記載されているが、正確なフィールと確実な手応えに終始するステアリングと4輪の正確な動きが、その軽快さとともに圧倒的なスタビリティを感じさせてくれるのだ。
 
リアサスペンションが最新のマスタングで独立化された効果も大きい。サーキットではドライブモードをトラックに設定することで、よりダイナミックな走りを楽しむこともできるはずだが、このモードでは同時にトラクションコントロールの機能もカットされるから、オンロードでこのモードを使うのは、実際にはかなりのリスクが伴う。
 

コストパフォーマンスは相当に高い1台だ

 
フロントグリルにシルバーバッジを掲げるGT350のドライブを楽しんだら、今度はレッドバッジのGT350Rの走りにチャレンジしたくなった。このようにさらにスパルタンなモデルを続々と誕生させてくれるのも、実はアメリカ車の魅力のひとつ。だからこそアメリカ車の世界からは常に目を離すことができないのだ。
 
297km/hという最高速に象徴されるように、ヨーロッパのスーパースポーツと同等の運動性能を誇りながら、それとは比較にならないほどにリーズナブルな価格が設定されているシェルビーGT350。コストパフォーマンスは相当に高い一台だというのが率直な感想だ。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
【プロフィール】
 
山崎元裕(ヤマザキモトヒロ)/モータージャーナリスト
 

子供の頃から、自動車に鉄道、さらには飛行機と、とにかく乗り物が好きだった。
後の人生を左右することになるきっかけは、1970年代半ばに日本を襲ったスーパー
カーブーム。

大学で機械工学を学び、その後、縁あって自動車メディアの世界に。
自動車専門誌の編集部員を経て、モータージャーナリストとして独立するが、一貫して
スーパーカーの世界を探求している。

新しい自動車が生まれる舞台ともいえる
モーターショーの取材はライフワークのひとつ。
 

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