BUBUがお届けする連載企画 ナレッジ Showcase.11 中三川大地

KNOWLEDGE! VOL.11
試乗記
ナレッジ! Vol11 中三川大地

 

BUBUがお届けする連載企画 "ナレッジ” | Showcase.11 ~ 中三川大地~

「シボレーキャプティバ スポーツエディション」

第11回目はモータージャーナリスト「中三川大地」さんにご登場いただきました。
2017年8月1日  写真/構成 プロスタッフ
 
 

“プレミアム”じゃないSUVが欲しい

 
 
 
いま世の中は、プレミアムであふれている。特にSUVがそうだ。悪路もへっちゃらのSUVなのに、スポーツカー顔負けの出力性能を持っていて、高級サルーンを凌ぐ豪華装備と快適性まで兼ね備える。プレミアムSUVとか、クロスオーバーという言葉とともに、こんな“全部載せ”みたいなモデルばかりが人気を博している。でも、必要な機能だけを盛り込んだような、身の丈にあう等身大のSUVって意外と少ないことに気がつく。

昔はそんなこと考えもしなかった。人間の欲望をすべて引き受ける戦闘機みたいなSUVが男ゴコロをくすぐっていた。もちろん、いまも付加価値は否定しない。費用対効果と利便性しか考えないのなら、そもそもSUVなんて選ばないと思うから。でも、過剰なまでの性能や装飾は、僕にとって決して必要不可欠ではない。砂漠やジャングルを走破するわけでもないし、高速道路やサーキットをかっ飛ぶことに重きを置くなら間違いなくスポーツカーに手を出すだろう。プレミアムという名の付加価値を盛り込む以前の基本性能がしっかりしていて、過剰な装備は持たず、所有する歓びとともに道具としてガンガン連れ出したくなるモデルがあればいいのに――。と、常日頃から思っていた。

 

和み系SUVに“精悍さ”をプラスした特別仕様。

 シボレー・キャプティバは、そんな僕の気持ちにドンピシャだった。キャデラックやエスカレード、あるいはコルベットなどのアメリカン肉食系マシンが並ぶBUBU Freeway/キャデラック・シボレー葛西のなかにあって、キャプティバはまるで一歩引くかのように佇んでいた。2006年にGMがグローバルスタンダード化を狙って発売されたキャプティバは、ここ日本では2011年に導入されたものの、脚光を浴びることは少なかった。

けれども、そこは世界戦略車の意地か。10年以上の時間をかけてじっくりと熟成が進められていたのだった。2016年モデルからは顔つきが少し精悍になったほか、シボレーMyLinkなどの採用を経てぐっと現代化された。目の前にある個体は、ブラックミートケトルのボディカラーに合わせてホイールやモール類が同色でペイントされ、さらに差し色のレッドが随所に入る。さらにHIDヘッドライトなどを含め、BUBU光岡グループならではの粋なオリジナルカスタムが施された1台だった。それは「過剰な付加価値は不要だけれども、自分なりの個性は欲しい」っていうわがままな欲求に対する見事な回答だと思えた。
 
 
身の丈に合うSUVは意外と少ない...

カジュアルな雰囲気に、大らかな乗り味が魅力的。

 
 大型化の著しい昨今のSUV界にあっては、“ミドル級”といえるほどのボディは、日本で不便を感じさせないギリギリのサイズ感だと思う。GMの正規輸入車の現在のラインナップで唯一の右ハンドル車であることも手伝って、そこに敷居の高さは感じさせない。大柄なシートに身を預けると、昔から慣れ親しんできたようなシンプルな操作系が並ぶ。AV機器を筆頭としたエンターテイメントシステムがすべてシボレーMyLinkに集約されていることも、すっきりとした印象を際立たせている。無理に飾り立てられていないし、高級素材が使われているわけでもない。その潔さが好印象で、カジュアルというのはこういうことかと思った。初発の目新しさや高級感はないけれど、かといって10年後も古さを感じさせない気がする。豊富な収納が備わるのもうれしい。

おろしたての新車だからなのか、路面の凹凸を拾う際のアタリが少々硬く感じられるものの、クルマ自体の動きはゆったりとしていて気持ちがいい。目をサンカクにして飛ばす気にはならないし、これなら疲れ知らずでどこまでも走れそうだ。もっと距離を重ねていけば「まるで革靴が馴染むように、しなやかさが増す」と、過去にキャプティバを経験した者たちは口を揃える。

その感触を後押ししてくれるのがパワートレインだ。2.4ℓ4気筒(ECO TEC)に6速ATの組み合わせは、表層の性能だけをみたら前時代的となるのだろう。だけど、やたらとドライバーを急かすことなく、必要充分の動力性能を提供してくれる。「効率よく走れ」ときめ細かく指示されるような、今ドキの「少排気量ターボ+多段化ミッション」にはない大らかさがあって、それが身体のリズムにすっと馴染む。普段は前輪にのみ駆動を伝え、滑りやすい路面で初めて後輪へ駆動力が伝達されるアクティブオンデマンドのAWDシステムは、無駄にヨンクを意識させない軽快感がある。肝心の悪路は試せなかったけれど、AWDならではのトラクション能力に加え最新の車体制御電子デバイスも満載だから心配することもなさそうだ。もちろんパーキングアシストやサイドブラインドゾーンアラートなど、運転サポートシステムも網羅されている。

 

いい意味でアメ車っぽさを感じさせない、とっても身近な存在。

 カジュアルな雰囲気に、大らかな乗り味など、キャプティバは乗る前に余計なことを意識させないストレスフリーなクルマだ。誰でもぱっと乗ってすっと馴染める。まるで手を伸ばせばそこに欲しいものがあるような、日本人にとって“茶の間”のような存在だ。いや、アメ車だから本当は“リビング”と呼ぶべきなんだろうけれど、いい意味でアメ車っぽさを感じさせないのが、逆に個性的に思えてくる。どこの国に持っていってもすぐに馴染んでしまうところに、GMがグローバルスタンダードと謳ってきた真意があるのだろう。
 
 キャプティバは2011年より日本導入されているが、実際、お子様を持つご家庭のファミリーカーとしての需要が多くを占めるという。初めてのアメ車として選ばれるというよりはむしろ、さんざん濃密なアメ車を転がしてきた人たちからの乗り換えも少なくないとか。

しかもこの“茶の間”は、最大で7人もの家族がくつろげる。厳密にいうと、ラゲッジスペースを犠牲にしながらどうにか成立させている3列目はエマージェンシー用と割り切ったほうが無難だ。けれども5人なら全く不満は感じない。ドライバーが運転手に徹してしまうところがあるぶかぶかなミニバンを転がすよりも、きっと家族の会話は弾むはずだ。
……と、偉そうに記したところで、家族持ちでもない独身の自分にはそのあたり、想像しかできない。いまのところ僕にとっては、3列シートはおろか2列目のシートだって「プレミアム=付加価値」である。だけど、こんなプレミアムなら生活に不要などと偉そうに切り捨てず、一刻も早くそれを必要とする男になりたい。まるでキャプティバに人生を正されているようでちょっぴり悔しくなったが、Apple CarPlayを使った車内エンターテイメント機能に癒され、僕はひとりキャプティバのステアリングを握っていた。
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
【プロフィール】
 
中三川大地(ナカミガワダイチ)/モータースタイルジャーナリスト

1979年生まれ。明治大学理工学部 機械工学科卒業後、自動車雑誌の編集部員を経て25歳で独立。フリーの自動車系ライター/ジャーナリストへ。「モータースタイル」という趣旨のもとに、クルマ自体やその文化、交通社会の「姿、技術、時流、考え方」などを堅実かつ独自の切り口で表現、考察する。徹底した取材をすることで正確性を追求しながら、文章の表現形式にも「スタイル」を貫き、わかりやすくおもしろい表現にこだわる。輸入車、国産車問わず、アフターパーツやカスタム、モータースポーツに関する造詣は深い。

 

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